センスのないあなたに送る、絶対負けない「音楽性獲得法」

はじめに

はじめに言っておかなければならないのは

この記事が「センスも悪くて才能も無ければ人並み以上の耳もない」

という人のための方法論であるということ。

さあ自ら絶対的な才能を信じて疑わない人間は今すぐご退出願います！！

さてと。

センスのないあなた。

悲しいかな、この世界には大した努力もすることなく

非常に音楽的で高度にテクニカルな演奏技術を手に入れた

「センスの良い」人間が存在します。

それは確かです。

我々凡人はその圧倒的なスピードには

ひれ伏すしかありません。

上達の速さでは彼らには叶わないのです。

でも安心してください。

センスが悪くても才能がなくても耳が悪くても

音楽的な演奏をすることは可能です。

ひたむきな努力と継続的な練習が

必要になりますがそれは確実に可能なのです。

うさぎと亀のお話を思い出して、

センスないなりに地道にやっていきましょう。

また、この記事で紹介する方法の短期的成果として、
次回のレッスンにて、レッスンの先生をして

「あなた一体どうしちゃったのよ」

と言わしめることは可能です。
お楽しみに。

「音楽的な演奏」とは

音楽的な演奏とそうでない演奏の違いは明確です。

「音に思想があるかないか」です。

両者の違いは一聴してすぐにわかります。

音に思想があるとはどういうことか。

簡単に言えば「こういう音を出したい」

と理想を持って音を出しているということです。

実はこれ、音楽的な演奏をするしない以前に
そもそも楽器を演奏する際には
絶対に必要不可欠なはずの事柄なのです。

ピアノ以外の楽器に触れたことのある人だと

ここらへんのことはイメージしやすいと思います。

何が言いたいかというと

頭の中に音のない状態で楽器を演奏するのは

実はとっっっっても難しいことなんですよ。

私はトロンボーンをやっているので

特にその傾向は顕著です。

音程は取れず、そればかりかすぐに体力はなくなります。

無理な奏法を強いられるからです。

逆に、頭の中に明確な音があるときは

驚くほどなんの苦労もなく

演奏することができます。

これがピアノになると、幸か不幸か

鍵盤を押せば正しい音程で音が鳴ってしまうために、

多くの人がこの事実に気がつかずに
過ごしてしまっているわけです。

指をおたまじゃくし通りに動かしてさえいれば

演奏できている気になってしまうのです。

でも同じことを歌や管楽器でやってみると

明らかな音痴になるのです。

だからなんとかしなきゃと

誰でも思うのです。

しかしピアノでは気がつかない。

平気で音痴を披露しています。

「あなた、音痴ですよ」と

誰かに耳打ちしてもらうまで。

まず思想ありきで
そこに実際の音をつける。
この順序が守られねばなりません。

そのためには「読譜」の方法から
考え直す必要があります。


音を出す前にできる練習のひとつである、
「読譜」。
これがあなたの演奏の音楽性を
決定づけると言って過言ではありません。

なぜ「読譜」なのか

人間の脳みそは意外と性能が悪くて

鍵盤上で指の運動をしながら

一方で音楽の構成を考えたりなどはできません。

しかし読譜のフェーズをろくに経ずして

指で音符をなぞり始める
（まず音を出してみる）
という人は多いと思います。

そうすると音楽が指の動きに支配されていくのです。

音楽の構成よりも指の動きが優先されるためです。

つまりここは弾きにくいからゆっくりにする、とか

ここは弾きやすいから強く弾くとか、
そういう演奏に次第になっていくんですね。

頭ではそう考えていなかったとしても

実際の音にはそういう無思想な部分は

はっきり現れています。

バレてますよ。

  

音楽を作る作業は決して鍵盤上でしてはいけません。

そして鍵盤を触るより先に音楽を作らなければなりません。

センスのない人のための「読譜術」決定版

さあ長くなりましたが、これより
最高に音楽的で最高にエキサイティングな演奏に

到達する「最高の読譜術」をご紹介しましょう。

１、      コピー譜を用意します。（原譜ダメ、絶対。）

２、　机に向かいます。      

３、　運指を全て「ピアノに触らずに」決め、必要なだけ書き込みます。

４、      演奏上の注意点も「ピアノに触らず」考えうる限り全て書き出します。

５、      技術的に難しいところはリズム・運指に納得がいくまで頭の中で練習します。

６、      一度頭の中で通して演奏してみます。

７、      最後、実際に音を出してみます。

もちろん、音を出して確かめていく中で

訂正するべき運指がある場合は訂正していきます。

コピー譜ですから何度でも白紙に戻せますね。

音を出す前にこの手順を踏んでおくことで

強制的にあなたの頭の中に「音楽のイメージ」
のみならず「演奏時の身体の使い方のイメージ」
が出来上がるので

指の練習にとらわれるあまりに

音楽性がないがしろになったり

無理な奏法で弾き始めたりということ
を未然に防ぐことができます。

この手順を踏んで音を出してみると

驚くほどスムーズに練習が進むことに

気がつかれることと思います。

今までやっていた練習は
なんという時間の無駄だったんだろう。

御愁傷様です。

失った時間は取り戻せません。

せめて未来の時間は救ってあげましょう。

楽器に触れる前にたったこれだけの
手順を踏むだけで
あなたの頭の中には理想の音、
つまり思想が確立されるのです。

ということは自動的に（と言っていいほど）
あなたの演奏は音楽的になるのです。

さあ、才能に溢れた彼ら彼女らに
負けっぱなしは嫌ですよ！

センスないならないなりに、
地道なことコツコツ重ねていきましょうや。